臨床 エビデンス

超音波の網膜刺激による視機能改善は、安全かつ効果的であるとの複数の報告があります。 国内外で行われた研究により、眼科領域への超音波の応用が現実的であり、特に視力回復や眼底血流の改善において有望であることが示唆されています。

代表的な研究として、「手持眼科用超音波治療器の試作と治療成績」（山本由記雄ら）では、12kHz・100mW/c㎡出力の超音波治療器を用い、後天性近視・弱視・角膜疾患・網膜中心静脈閉塞・黄斑変性など幅広い疾患に対して有効性が確認されました。 同研究では、網膜血管の拡張・眼圧の安定・視力の向上・薬剤の眼内移行の促進といった多角的な効果が観察されています。特に、投射によって非投射眼にも視力改善が見られる現象や、薬剤感受性の亢進などが確認され、超音波の微細な物理的刺激が生理機能に好影響を及ぼす可能性が示されました。

また、米国のG. Baum博士による安全領域（Safe Zone）に関する研究や、中西氏・奥田氏の家兎眼実験によっても、一定の周波数と出力条件下での超音波治療は安全であることが検証されています。

さらに、「Aスキャン超音波の安全管理」に関する文献（Wiley Online Library）でも、眼科用途での超音波使用における組織への安全性が確認されています。

主な出典

• 山本由記雄ほか「手持眼科用超音波治療器の試作と治療成績」
• motoyama-nakamura-gankaclinic.jp（眼科臨床における超音波の活用）
• onlinelibrary.wiley.com（Aスキャン超音波の安全性に関する研究）